僕だけの人生を
僕らしく歩むために
森下 太陽
僕の母はアメリカ人で、父は日本人。外見がみんなと違うからか、子どものころはいじめや仲間外れにされたり。友達ができてもなぜか100%は心を許せず、そんな自分が苦しかった。
13歳の時、家族でギリシャへ移住。英語を話せるつもりでいたのに、うまく通じなくてギリシャ語もわからない。ここでも孤立してしまいました。再び日本に戻ったら、勉強についていけなくて。見かねた母の友人が「アメリカにはいろんな人がいるからおいで」と誘ってくれて、17歳でアメリカへ渡りました。
アメリカでももちろん英語は通じません。20歳で大学に入り、一人暮らしをしてからはタバコを吸い、ジャンクフードばかりを食べて、引きこもっていました。自宅にこもりながらも、人生の成功って何だろう?お金を儲けること?そもそも成功ってなんだ?考え続けましたが、僕には答えを導く知恵も経験もありませんでした。
そんな時、サンフランシスコ・ベイエリアのスピリチュアル・コミュニティが開催したスピリチュアル・フェスティバルに参加。広大な大地に寝転んで心を鎮め、深い瞑想状態に入ります。実際は2時間程度だったと思いますが、まるで4000年を生きたような長い瞑想を終え、からだの中はとても静かでピュアな愛に満たされ、僕の中に温かい何かが生まれました。
自宅に戻ると、自分を高めたいという欲求に突き動かされ、とにかくいろいろな知識を得たい。僕は何のために存在しているのか?宇宙はどんなシステム?こうしたことを学べる機関を探し始め、古代エジプトの思想にたどり着きました。それ以来、神や哲学、宗教、人体のメカニズムなど、さまざまな叡智と実践を学んでいます。
コロナ禍はサンフランシスコで働いていましたが、完全リモートになったことをきっかけに、スピリチュアル・コミュニティが集まるマウント・シャスタに引っ越しました。
都会で育った僕はアウトドアの経験は皆無で、自然は脅威。ですが、天然の湧き水のおいしさ、オーガニックな食べ物の尊さ、澄んだ空気、人と比べることなく、ありのままでいられる心地良いコミュニティ。マウント・シャスタでの暮らしは、僕がいかに頭だけで物事を考えていたのかを教えてくれました。
まるで玉ねぎの皮を一枚一枚むいていくような感覚で、心の壁は取り払われていきました。魂が心とからだにうったえかける時、人は自分の本当の道を歩み出せる。それは僕にとっての音楽でした。
現在は、サウンドとダンス、ヒーリングを合わせたエクスタティックダンスを主宰しています。誰かの壁を取り払うきっかけになればと思います。
Taiyo Morishita 森下 太陽