沖縄という優位性を癒しに包む
プラザハウス
本田 勝之助
年間200日以上が夏日か真夏日。それでいて猛暑日はゼロに近い。冬日と真冬日もない、一番近くて快適な亜熱帯、沖縄。気温が高いだけで筋肉が緩む。心とからだが巡り始める。目に映る風景に、日本は決して単一文化の国ではないことに気づかされ、その豊かな多様性に自分が自分であって良いと慰められる。
生活圏を離れ、ストレスから解き放たれる転地療法=リトリートにふさわしい。東洋医学では、過不足なく中庸で、滞らないことが健康だと考えられていることからすると、沖縄は間違いなく癒しの地だ。
気候風土、動植物、文化、食、すべてが独特な沖縄は、東京からたった3時間で異邦人になれる場所でもある。首里をはじめ各地の城は琉球王朝の名残。世界自然遺産やんばるの森は、日本の両生類と爬虫類の約6割、固有種や希少種の生息地。四方を囲む海の美しさとマリンスポーツの楽しさ。やちむん、エイサー、カチャーシーと、字面からも琉球を彷彿とさせる唯一無二の文化。多様な魅力にあふれた非の打ち所のない旅先だ。
刺激ばかりではない。ただただぼんやりして心の断捨離、デトックスも叶う。モノと情報は時に供給過剰で、不自由はないのに精神と心は疲弊しやすい状況に置かれることは多い。日差しを浴びて海風に吹かれていると、些末なことを忘れて自分自身にフォーカスできる。人間も光合成のように日の光で力が湧いてくるのではないかとさえ思う。
お日様の下、自分らしく日々を過ごし、心の力を蓄えておくことは備蓄といってもいい。備蓄ももはや水や食料、非常電源など物資にとどまらない。
数年ごとに大災害に見舞われる日本。世界を覆ったパンデミック。残念ながら未来は不確かで、誰にも等しく災難に見舞われる可能性があることを思い知らされる出来事が続く。同時に、たくましく立ち上がる被災地の人々の姿に逆に力をもらうこともある。そのもらった力で困っている誰かに尽くすため、できることを探し行動する企業や個人は確実に増えている。こうして人から人へ運ばれる心の力によって、柔軟に人間の営みを回復していくことが集団的レジリエンスなのではないかと福島県人である私は考えている。
心身ともに健やかであることは自分自身にとどまらず、周囲の人にも影響する。一人ひとりの小さな変化や挑戦が巡り巡って大きな力になることもきっとある。
何度訪れても高揚する鮮度感で衣食住全方位に惹きつけられるプラザハウスは、これまで以上に愛にあふれる場所になる。買い物にとどまらない、心満たされる体験から優しい思いの連鎖を生み、素敵な未来を描いてくれると期待している。
Katsunosuke Honda 本田 勝之助